第16回大東流無傳塾友好演武大会〜ご挨拶〜

今日は遠いところ、わざわざ私たちのこの友好演武大会に参加して下さいました。神刀流北海道本部の工藤先生ご一門、北海道合氣道北闘の会の大田先生ご一門の皆さんに心から厚く御礼申し上げます。

一度は出てみたい、胸がドキドキ、心がワクワクする「憧れの大会」に育てて頂きたく回を重ねて参りました。今年で16回目を数えることになります。また、黒子となり、こうして大会を支えてくれる塾生の皆さんにも深く感謝を申し上げます。

かつてその道の大家の書中に大東流合気柔術は無形文化財であると表現されたことがあります。また、恩師堀川幸道先生のよき後援者であった元最高裁判所長官の石田和外先生も対話の中で「この技は輸出したくないものですね。」とも言われていました。又、大東流合気柔術の中興の祖である武田惣角から手解きを受けた門人は明治、大正、昭和の三代に亘り多士済々であり、大正14年に竹下勇海軍大将、昭和9年に岡田啓介総理大臣等に“試される大地”ここ北海道から出向いて指導されております。

もうひとつお話ししましょう。40数年前のこと、某コピーライターの方が書いたコラムをご紹介します。彼の言うには北海道が日本全国より秀でるものが3つあります。1つは大相撲、2つ目が江差追分、3つ目がラーメンであるというのです。私はこれを見てすかさず大東流があるのだと声高らかに叫んだものです。北海道にはこんないいものがあるのに。

そういう熱い想いの中、世はグローバルになり国際貢献・国際交流が叫ばれる時代になってきました。トヨタ自動車の創業者である豊田佐吉の言葉に「窓を開けよ。外は広い。」とあり、徹底した秘密主義を貫く歴史の中で合気道の源流ともいわれる大東流合気柔術の技法を世に広く広めるため無傳塾は新世紀の陽が昇る輝かしい2001年1月1日に誕生しました。

安倍首相が掲げる1億総活躍社会の中にあって、スポーツ産業を拡大し、国の経済成長に貢献しようと鈴木大地スポーツ庁長官が呼びかけ「スポーツ未来開拓会議」が立ち上がりました。日本のスポーツは学校教育が中心であり安いものと思われてきました。2011年にスポーツ基本法として全面改正されるまでビジネスの視点がタブーとされてきました。スポーツが「稼げるもの」との発想が広がらなかったといいます。しかし現在はスポーツの名目GDPに占める割合は米国の2.9%の54.8兆円で、日本が1.2%の5.5兆円にとどまっています。成長の余地を多く残す国内スポーツ産業がGDP600兆円を目指す国の戦略に果たす役割は少なくないようです。

今年はオリンピックイヤー。ブラジルのリオデジャネイロのオリンピックに向けてアスリートたちが熱い汗を流して日夜トレーニングに頑張っております。そしてもうすぐそこにきている2020年の東京オリンピックに向けて“クールジャパン”のキャンペーンを張っており、世界に向けて日本を知って貰う千載一遇のチャンスと捉え、大いにPRしていきたいものです。その中に武道も日本文化のひとつとして「世界に冠たる護身と平和のための武術武道文化である」これが日本武術武道の神髄であると手を挙げていきたいと切望しております。こうして友好演武大会に参加して下さる武道団体の皆さんと共に手をつなぎ武道の発展隆盛のため切り拓いていく覚悟であります。

今日は佳き日。無傳塾の友好演武大会。元気で明るく且つ凛とした演武をご披露して下さい。今日は本当に有難うございました。

感  謝

2016年6月18日
合氣護身術大東流無傳塾
塾長 最高師範 飯田 宏雄