初段 野口 華代
入り身投げ
前進あるのみ
数年前、海外に行ったことで、日本人らしさとは何か、自分は日本人として何ができるのかと考えた時、何も持っていなかった。このままではいけないという焦りのようなものがあった。そんな中、出会ったのが無傳塾だった。女性や子どもでも対等に稽古できる、呼吸できれば誰でもできると聞いて、これなら運動嫌いの自分にもできるかもしれないと思った。それに、道場のピリッとした空気が妙に心地よく、稽古の様子、何より袴姿が格好良かった。ぼんやり思い描いていた“日本人らしさ”とは、これだと思った。始めは何もかも新鮮で面白かったが、やるほどにわからなくなってきて、仕事や体の不調でと、自分に言い訳をして足が遠のいた時期があった。しかし、実際に稽古に行くと、体がすっきりして、翌日は仕事がうまくいく。「通うことが修行」。今でもこの言葉を戒めにしている。
合気柔術に通うようになってから、普段の生活で、コミュニケーションをとることが以前に比べて円滑になったように思う。合気と同じように、力でぶつからず、相手と繋がる。これを取り入れてみると、なんとなく苦手だなと思っていた人でも、最初からシャットアウトせず、まず、向き合ってみようという気持ちになれる。
最近になって、座る、立つ、歩く基本の動作がとても難しい事に気づいた。稽古の回数が少ない分、いかに日常に落とし込むか意識するようにしている。地下鉄に乗るとき、仕事中など、気づいたときに肚に力を入れている。
これからの目標はまだ漠然としているが、飯田先生のように、いつまでも進化していけるよう、精進していきたい。
初段 野口 華代